STORY04

CO2の見える化&分析データフィードバックで、全国初、安全な飲食店運営を推進。

お客様を成功に導く懸け橋BRIDGE FOR INNOVATION

背景
コロナ禍における飲食店での安全対策の向上が必要
お客様の課題
コロナ感染リスクの数値化&分析データのフィードバックの実現
富士フイルムBIジャパンの解決策
クラウドサービスを用いたデータ収集スキームの構築

某地方自治体における喫緊の課題は、「安全な飲食店運営の推進」。
コロナ禍という非常事態において、スピード重視の対応が求められる中、CO2濃度の計測のみならず、
その分析結果を飲食店事業者にフィードバックする日本初のシステム構築を実現した。

MEMBER

  • SYSTEM ENGINEER2007年入社

  • SYSTEM ENGINEER2020年入社

  • SOLUTION SALES1994年入社

揺るぎない信頼関係のもと、
かつてないシステム開発がスタート。

「CO2センサーを配置した飲食店で、継続的なCO2濃度の測定を行い、その分析データを飲食店にフィードバックできるシステムを最速で作りたい。相談に乗ってもらえないだろうか?」。某地方自治体からSEのもとに直接連絡が入ったのは、2021年3月。その背景には、飲食店を利用する人々の安心・安全の確保と、飲食店の安全な店舗運営の推進、ひいては、コロナ禍で賑わいを失った飲食店の経営状況の改善につなげたいという自治体の強い想いがあった。「行政機関の方々にとって、コロナウイルス感染症の発生は、災害と同等レベルの緊急事態です。お客様にとって初の試みであり、我々にとっても社内で先例のないものでしたが、困っている人に、早く支援を届けたいという気持ちに応えたい、かつ技術者として、新しいシステムの構築にチャレンジしたいという想いが、原動力になりました」とSEは振り返る。

このプロジェクトが託された根底には、これまでの案件実績によって築かれてきた、揺るぎない信頼関係があった。2020年5月、開発着手から、わずか8日でリリースした支援給付金システムの構築を皮切りに、新型コロナウイルスに関する事業者向け支援制度に関わる計3つのシステムを短納期で遂行し、期待に応えることで信頼を獲得した。システム開発のみならず、SEがステークホルダーを主導して、案件を推進した対応への評価も相まって、今回の案件につながった。実質2ヶ月という短期間でのシステム構築・運用開始とハードルは高かったが、営業、SEの3人は、三位一体となって、この新たな挑戦に臨んだ。

遠隔ながらも、綿密な連携体制により、
スピーディなシステム構築を実現。

今回のシステムは、Webアプリケーションをホスティングするためのクラウドサービス「Heroku」と、クラウド型のビジネスアプリケーション「Salesforce」を用いて構築することが決まった。サーバーを自社で保有し運用するオンプレミスの場合、現地での作業が必須だが、クラウドであれば、SEが現地に行かずとも、どこからでも接続して作業を行うことが可能になる。都道府県をまたぐ移動が控えられた状況に加えて、限られた時間を有効に使うためにも、リモート会議と遠隔での開発作業が得策であると考えた3人は、自治体に提案。承諾を得たのち、東京を拠点とするSE側は、打ち合わせから、システム構築までのすべてを遠隔で行い、自治体により近い距離に拠点を置く営業側が、見積仕様書の説明、契約など、現地での折衝や調整を担った。「別拠点ながらも、綿密な連携を図ることで、それ以前と変わらぬスピード感をもって案件を推進し、システムの構築を実現できました」。

しかし、道のりは決して平坦ではなかった。当初、自治体からは、「7月1日にすべての機能をリリースしたい」という要望があった。単体テストや総合テストに必要な時間を考慮すると、実際の設計開発に充てられる期間は1ヶ月弱と極めて短く、かなり厳しいものがあったが、5月の段階で、自治体はシステムの稼働開始日を公表していたため、この日程をずらすことはできない。そこで、希望納期を遵守するために、SEは、データ受付機能とサマリデータ作成機能という、システムの中核を成す2つの機能を分割してリリースすることを提案した。CO2濃度や店舗情報など、飲食店から送信されるデータを受け付ける機能さえ、予定通りにリリースできれば、日々、蓄積される詳細データの集計を行うサマリデータ作成機能は、後を追う形でも、システム全体の稼働に支障をきたすことはない。話し合いを重ねた結果、分割リリースを行う流れで合意し、無事成し遂げることができた。

最大のチャレンジは、
多様なステークホルダーを主導すること。

今回、構築したシステムのデータ収集スキームには、2つのルートがある。一つは、CO2センサーから自動送信されたデータが、Salesforceと連携したHerokuのクラウドに蓄積されるルート。もう一つは、スマートフォンにインストールした情報登録アプリから手動で入力されたデータが、アプリ専用のサーバーを経由して、Salesforce上に構築したシステムに自動的に転送されるルート。3人にとって最大のチャレンジは、この開発に関わる多様なステークホルダーを取りまとめ、事業推進を主導する役割を担ったことだ。自治体をはじめ、CO2センサー開発メーカー6社、情報登録アプリの開発事業者、分析事業者などと整合性を取りながら、連携を図っていった。

その中でも、SEが特に重視したのは、「できること、できないことの線引き」を明確にし、合意した上で開発を進めることだった。「このシステムを実現するための方法は、他にもありましたが、お客様が希望する予算やスケジュールなどの条件には合わず、今回採用した方法が唯一、それらの条件を満たすことができるものでした。できないことについては、その理由をきちんとお伝えし、その上で、ご要望に近づけるご提案を差し上げることも、信頼関係を築いていくために大切なことだと思います」。

ステークホルダーは、システムに精通している方ばかりではないため、技術的な話を分かりやすく伝えることを常に意識した。CO2センサーとデータをやりとりする際のインターフェース仕様の取りまとめも行った。CO2センサーを配置した飲食店に対し、補助金を支給する事業は、他の自治体でも行われてきたが、CO2濃度の計測結果の「見える化」を行い、専門家による分析結果のフィードバックまでを可能にした事例は、この自治体が全国初となる。「社内で初めてHerokuを使用した事例であり、関連部門を巻き込んで調整・交渉し、早期にHerokuを商品化できた結果、何とかHerokuの販売開始をシステムのリリース時期に間に合わせることができました。IoTデバイスの活用事例としても、製造業の自社工場などでの取り組みを除くと、国内でも例を見ない先進的な取り組みであると認識しています」。

次なる挑戦は、貴重な収集データの利活用。

2021年7月にシステムをリリースして以降、自治体では、飲食店への巡回・フィードバックの第一弾が始動した。「継続的にお客様とやり取りする中で、評判が良いと嬉しい反響をいただいており、ご満足いただけているようです。テレビのニュースで取り上げられた映像など、メディアへの掲載情報も、逐一、報告くださっています」。2022年度は、この新たなシステムを通じて収集した貴重なデータを、いかに利活用していくかを探るべく、継続案件を受託する話が持ち上がっている。自治体としては、飲食店対象のデータ収集にとどまらず、別の事業形態にも拡大し、さまざまなデータを収集していきたいと考えており、将来的には、それらをオープンデータとして活用することも含めて構想を描いているという。自治体の使命感、SEたちのチャレンジ精神、そして、両者の架け橋となるべく、細やかな調整と折衝に奔走した営業。それらすべての結晶であるシステムは、安全な飲食店の周知と、人々の安心・安全な飲食店の利用に、今日も貢献し続けている。「お役に立てる術を模索し、速やかにご提案していけるよう、力を合わせて、尽力していきたいと思います」。これからも、挑戦は続いていく。

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