STORY05

地域の全小中学生に1人1台の端末を。
類例のない仕組みで実現した、
教育ICT基盤の構築。

お客様を成功に導く懸け橋BRIDGE FOR INNOVATION

背景
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」により、児童・生徒1人1台の端末&高速大容量の通信ネットワークの整備が必要
お客様の課題
市内の全小中学校における端末の整備&教育ICT基盤の実現
富士フイルムBIジャパンの
解決策
iPad端末、モバイルデバイス管理サービス、指定されたセキュリティ機器を連携させ、教育ICT基盤を構築

某市のお客様の喫緊の課題は、市内の全小中学校に端末を整備し、教育ICT基盤を構築すること。複雑な通信機器の導入により、最適解の探索に試行錯誤した末、全33校に約4000台のiPad端末を整備し、
インターネット環境と無線機器の設置による教育ICT基盤の構築。を短納期で実現した。

MEMBER

  • SYSTEM ENGINEER2006年入社

  • SOLUTION SALES1999年入社

託されたミッションは、
地域の子どもたちのために、教育ICT基盤を構築すること。

2019年12月、文部科学省は、子どもたち一人ひとりに最適化された、創造性を育む教育を実現するべく、「GIGAスクール構想」をスタートさせた。全国の児童・生徒に1人1台のコンピューターと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、令和時代における学校の新スタンダードを作り上げるという壮大な構想である。この取り組みが公表されると同時に、営業は直ちにアクションを起こした。自らが拠点を置く某県内の全市町村にコンタクトを取り、担当者へのヒアリングを行った。「これまでに、我々が培ってきた知見や経験を活かして、何かお手伝いさせていただけることはないかと思い、アプローチを続けました」と営業は振り返る。そんな折、某市の教育委員会から、「大規模に端末を整備したことがなく、そのノウハウもないために、どうすればいいのか分からず困っている」という相談が寄せられた。ヒアリングを繰り返す中で、提案のご依頼を受けたことがきっかけとなり、今回の案件がスタートするに至った。

この自治体には、小学校21校、中学校12校の全33校があり、子どもたちに1人1台のコンピューターを整備するとなると、計4000台程が必要になる。しかし、端末を配るだけでなく、各小中学校における無線環境、ならびに安全なインターネット環境を構築するためには、想定以上にさまざまな課題があった。第一に、現行の内部ネットワークではインターネットが高速接続に対応できない状況だった。また、現状の構成ではGIGAスクール端末の接続に対応することができず、既存のネットワーク機器への設定変更も必要だった。「実際に動作を確認し、検証してみなければ分からない部分も多くありましたが、教育委員会をはじめ、地域のさまざまな方々にご協力いただきながら、一つひとつの課題解決策を探っていきました」とSEは話す。

スムーズ&緊密な2つの連携体制により、
ICT基盤の構築を短納期で実現。

営業は、この案件を万全の体制で進めていくために、市や教育委員会との綿密な話し合いを重ねていた。端末については、半導体不足による影響が顕在化し始めていた頃だったが、営業を中心としたパートナーやメーカーへの働きかけによって、必要な台数を確保することができた。しかし、メーカーからの出荷時期については、数ヶ月間、不透明な状況が続いた。二転三転した末、端末がようやく富士フイルムBIジャパンの倉庫に届いたが、端末やネットワーク整備のために必要な機器を搬送した頃には、すでに納期が迫っており、現場での実質的な作業に充てられる期間は極めて短かった。

最優先で行われたのは、ソフトウェアのインストールなどの初期設定を行うキッティングの作業だった。当然ながら、通信用端末はそのままでは機能しないため、子どもたちがすぐに使用できる状態を整えなくてはならない。「キッティングは、一度に数台であれば問題なく行えるのですが、100台を超えると、各種通信機器の調整などが必要になるので、SEとしての技術力を総動員して対応しました。また、約4000台もの端末があると、少なからず初期不良が発生しますが、その都度、対応を行っていると、ネットワークの整備が追いつかなくなります。話し合った結果、こちらの対応は営業に担ってもらい、自身は、技術面に専念するという分業体制で進めていきました」。

SEが、協力ベンダーとの技術的な打ち合わせや折衝を重ね、設計・構築を主導する一方、営業はフロントに立ち、ソリューション営業と力を合わせながら、スケジュール調整や契約など、学校や業者との折衝・調整のほか、納品物の搬送などを担った。今回、市内の全小中学校における端末の整備、インターネット環境と無線機器の設置によるICT基盤の構築を、短納期で実現することができた背景には、揺るぎない2つのチームワークがあった。一つは、SEと営業の明確な役割分担によるスムーズな連携体制。そして、もう一つは、市内の協力企業をはじめとした各社との緊密な連携体制である。中でもキッティングのライン作業を、SEらと共に担ってくれた地元の協力企業には、iPad端末を使うことになる子どもたちの保護者が多く働いており、早朝から遅い時間まで尽力してくれたという。「今回の案件は、手を携えてくださった皆さんの存在があったからこそ、成し遂げることができました。感謝の気持ちでいっぱいです」。

最大の挑戦は、「最適解のない構成」の着地点を見出すこと。

今回、ICT基盤を構築するにあたって、SEが最も苦心したのは、「最適解のない構成」をいかにして作り上げるかということだった。ミッションは、各学校に導入するセキュリティ機器、iPad、モバイルデバイス管理サービスを連携させるための仕組みを見出すこと。言い換えれば、セキュリティ機器の仕様に沿った形で、約4000台のiPad端末とモバイルデバイス管理サービスを連携させていく必要があった。
しかし、今回指定されたセキュリティ機器は特殊な仕様であったため、思うように連携させることが出来ず、試行錯誤の日々が続いた。時を同じくして、富士フイルムBIジャパン内で受託したGIGAスクール構想案件の中には、部分的に本案件と一致する情報があったため、それらをもとに、SEは実際の動作を予想しながら、検証と実装を繰り返した。「学校によっても、環境は異なり、動作も違ってくるため、協力ベンダーとやり取りしながら、解決策を見出していきました。iPad端末には、コンテンツフィルターを導入しセキュリティを担保しましたが、学年によって端末の使用時間の制限に微差があることや各学校での運用が異なる点も考慮した上で、セキュリティ環境を構築しました」。

案件を進める中、不測の事態も起きた。各学校で動作確認を行う段階で、電気通信事業の都合により、一部の学校で光回線の工事が滞ってしまったのである。一時的に、別回線を経由するなどして対処したが、その検証は、通信機器の特殊性も相まって、難易度が高かったという。一方、営業にとっては、寒さ厳しい季節での納品・検品作業が、想定以上にハードだった。端末のキッティングを行っていた地域内の工場から手分けして、各学校に端末を納品するだけでなく、持ち重りのする周辺機器の搬入も身にこたえた。納品後の計上業務も、対象校や機器数が膨大なために困難を伴ったが、「ご尽力をいただいたおかげで、地域の子どもたちに必要な教育ICT基盤を速やかに作り上げることができた。多大なるご支援を賜り、厚く感謝申し上げたい」と喜びの声を頂戴した時の達成感はひとしおだった。

お客様との関係性の深化から広がる、多様な展開

市内の全小中学校には、教育ICT基盤とiPad端末が予定通りに整備された。「導入から約1年が経ちましたが、市や教育委員会の方々と継続的にやり取りする中で、クレームや大きなトラブルは、一切起きておらず、ご満足いただけているようです。端末に関しては、各学校側の万全な管理体制のもと、非常に大切に扱っていただいているとお見受けしています」と営業は話す。今回の案件実績が高く評価され、現在は、さまざまな追加案件が発生しており、従来、地元業者が優先されたパソコンやソフトウェアなど物品の購入時においても、声が掛かるようになった。追加案件の一つとして、学校の教室に無線機器の設置を行った。このように、SE側でもネットワークの状況がより詳細に把握できるようになったため、構成変更に対しても柔軟に対応できるようになり、ご要望にお応えすることが可能になったという。「お客様との関係性が強化されたことで、私共からのご提案も、より円滑に行えるようになりました。小中学校の学習環境のさらなる向上・改善はもちろんのこと、さまざまな業務領域で貢献できるよう、今後もチーム一丸となって、鋭意努力してまいりたいと思います」。