MEMBER
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SYSTEM ENGINEER2017年入社
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SOLUTION SALES2011年入社
急展開で始まった
前例のないスピード重視の課題解決。
2021年も半ばに差し掛かった頃、お客様の企業内では、新型コロナワクチンの職域接種の実施が早々に決まっていた。コロナ禍という未曾有の事態が長引く中、大切な社員を感染リスクから守るために、早急な対応が不可欠であることは言うまでもない。しかし、職域で接種を行うための仕組みづくりは、お客様にとって初の試みであり、手探りの状態にあった。そんな折、お客様の現場に常駐する富士フイルムBIジャパンメンバーのもとに連絡が入った。「職域接種の予約管理システムの導入を検討しているのだが、提案してもらえないだろうか?」。その話を聞いた営業は、直ちに行動に出た。人脈を伝って、職域接種の運営を担う責任者を探し当て、直接連絡を取り、詳しい状況を確認した。「早速、システムの構築案をご提案させていただきたいとお伝えしたところ、ちょうどベンダーを探している最中だったとのことで、その翌日に初回の商談を行うことになりました」と営業は振り返る。
お客様が抱える喫緊の課題と、営業がアプローチしたタイミングが見事に合致し、今回の案件は急展開で始まった。しかし、求められたハードルは、想像をはるかに超えていた。「3日後に見積りを提示してもらえれば、即採用しますとおっしゃるほど、ひっ迫した状況でした。さらに、正式に受託が決まった場合は、開発着手から2週間でトライアル版をリリースしたいとのことで、前例のないスピード重視の対応が求められていました」。その期待に全力で応えるべく、営業がまず取り掛かったのは、入念なヒアリングを行うことだった。3日間の間に、最長3時間の商談を4回実施し、お客様の要望を丁寧に汲み取りながら、迅速な提案を行っていった。
信頼を勝ち取る決め手となったのは、
綿密な連携と迅速な対応。
円滑に事が運んだようにみえるが、実のところ、一足先に競合他社がお客様への提案を行っていた。しかし、その内容は、お客様が求める要件を満たしていなかったようで、二の足を踏んでいたところに今回の話が舞い込んだ。お客様は、職域接種を実施するにあたって、より柔軟な設定が可能で、かつワクチン接種の予約を一元管理できるシステムを実現するために、最適な担い手を探し求めていたのである。連日行われた商談の舵を取ったのは、営業と、今回構築したシステムの基盤となるwebデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービスの専門営業だった。彼らはデモを共有し、お客様の要望を一つずつ、その場で反映させながら、課題解決のイメージをスピーディーに可視化させることで、お客様の信頼を獲得していった。
その後、より詳細なシステムの内容を含めた商談には、SEも参画し、営業、専門営業との綿密な連携体制のもと、お客様への提案が進められた。要望に応じて、さまざまなカスタマイズが可能な商材の利点を存分に活かした提案を行うと共に、お客様の最たる希望を叶えるべく、短納期の開発に適したアジャイル型のシステム構築を提案した。従来の開発手法の場合、要件をすべてクリアできるかどうかを検証してから、設計・開発に取り掛かるため、それ相応の時間がかかってしまう。一方、アジャイル型の開発では、要件をもとに、優先順位の高いものから設計・開発し、こまめにリリースを行うサイクルを繰りしながら軌道修正を行い、必要に応じて、優先順位の変更も柔軟にできる。言い換えれば、まず先に、システムの中核を成す機能をリリースし、その後、デモ環境に要件を追加していくことで、毎週のように機能をアップデートしていくことが可能になる。「この手法を取り入れる発想は、システム開発に精通したSEならではのものでした。非常にタイトなスケジュールでありながら、終始、前向きな姿勢で、課題解決に取り組んでくれたSEの存在があったからこそ、円滑な連携を図ることができました。途中、苦戦した場面もありましたが、力を合わせて知恵を絞り、お客様に納得いただける商談を一つずつ形成できたと思っています」
提案を進める上で、見積りを提示するにあたっては、お客様の要望の実現可能性を技術的に検証する必要がある。今回は、SEの知見者を総動員することで、技術検証を2日で実施し、実現性を確認して即座に見積り提示に至った。こうした不断の努力が実を結び、初回の商談から1週間後には、正式に受託することが決まった。その2週間後、トライアル版をリリースしたのち、段階的リリースを行い、2週間後には、すべての機能をリリースするに至った。
SE間でも良好なチームワークを発揮し、
タイムリーなシステム構築を実現。
この案件を進める上で、営業が大切にしたのは「初動」と「お客様との綿密なコミュニケーション」。「早急な課題解決策が求められる中、1日でもアプローチを取るのが遅ければ、お客様は、競合他社の提案を選ばれていたかもしれません。打診があったその日に、時を置かずに最初の行動を起こしたことで、道が拓けたと自負しています。商談が始まってからは、お客様との接点を可能なかぎり多く持ち、我々に託された課題へのさらなる理解と、お客様との関係性を深めることに尽力しました」。人と人との直接的な接触が控えられるコロナ禍において、リモート会議の利点を存分に活かし、急を要する当日の打ち合わせや確認事項なども、オンライン上で顔を合わせながら、細やかな意思疎通を図ることができたという。
今回のシステム開発は、このインタビューに登場するSEをはじめとする3人のSEが、チーム体制で担ったが、彼らにとっても、リモート会議と遠隔での開発作業は功を奏した。現地での打ち合わせや作業を行う場合、移動時間などのロスが生じるが、遠隔であれば、納期までの限られた時間を最大限有効に活用し、実質的な開発作業に充てることができる。加えて、基本的な設計開発、個別開発、お客様との調整やSE間での調整作業というように、役割分担を明確に行うことで、各自の役割に集中しながら、良好なチームワークを発揮し、システム構築をタイムリーに実現することができた。「要件を詰めていくにつれて、お客様からの要望も、さらに追加されていきました。しかし、極めて短納期の案件であることから、要件の優先順位を把握した上で、優先度の高いものからリリースしていくことをご提案しました。高頻度の打ち合わせなど、お客様にもご協力いただく必要のある案件でしたが、最終的にご満足いただき、大きなやりがいを感じられる開発となりました」。
課題解決がもたらしたのは、
「システムベンダーとしての認知度向上」という進展。
新型コロナワクチンの職域接種を実施するためのシステム構築という初めての挑戦に挑んだ営業とSE。難題に立ち向かう中、壁に直面することもあったが、予定通りにシステムのリリースを成し遂げた後、お客様からは、「皆さんのお力添えにより、滞りなく職域接種を実施することができた。ひとかたならぬご尽力に深く感謝している」と嬉しい言葉を頂戴したという。今回の案件は、お客様の課題解決を通じて、ワクチン接種の加速化を図るための一助として社会貢献にもつながったが、もう一つ、意義深いことがあった。「この案件を経て、お客様の企業内で、我々のシステムベンダーとしての認知度が、格段に向上しました。その意味では、富士フイルムBIジャパンとしても、着実なステップアップを図ることができた転換点になったと思っています」と営業は話す。現在は、新たなシステムの構築など、継続案件の話も持ち上がっており、お客様との関係性はさらに深まりを見せている。SEは、短納期での開発が求められる社内の別案件において、本件での経験を交えた意見を求められるなど、その実績が高く評価されている。「今後もお客様のご期待に添えるよう、これからもベストを尽くしていきたいと思います」。